不動産の相続Q&A

Q1 遺産分割において,不動産の評価は,何を基準に決めるのでしょうか?

不動産の評価額には,固定資産税評価額,相続税評価額,路線価などがあります。理論上は,時価(今,遺産である不動産を売ったら手に入れることのできる金額)  を基準に決めることになりますが,時価を算出するのは容易でないため,比較的みなさんに馴染みのある固定資産税評価額を基準に,不動産の評価が決定される例も多いです。もっとも,固定資産税評価額は,時価の約7割とも言われていますので,相手方が不動産を取得し,こちらが代償金を受け取る場合には,損をすることになります。したがいまして,そのような場合には,まずは,不動産業者に査定を依頼し,それでも合意ができない場合には,不動産鑑定士による鑑定を行うべきかどうか検討することになります。

Q2 一つしかない不動産を複数の相続人が取得したいと希望する場合,どうなりますか?

一つの不動産を一人の相続人が取得する場合,その他の相続人は,相続分相当額の代償金を取得することが一般的です。これに対して,一つの不動産について,複数の相続人が取得を希望する場合で,かつ,遺産分割協議や遺産分割調停において,合意ができない場合には,審判において,裁判官が不動産の帰属を決定することになります。その場合,裁判官は,それまでの使用状況を重視することが多く,それまで,相続人が遺産である不動産に居住していた場合には,当該相続人に不動産を単独取得させ,その他の相続人に代償金を支払わせるという方法を取ることが多いです。そのような事情がいずれの相続人にも見受けられない場合には,やむなく法定相続分に応じた共有という選択肢を取る可能性もあります。

Q3 複数の土地があって,どの相続人がどの土地を取得するか話がまとまらない場合,どうなりますか?

遺産分割協議や遺産分割調停を行っても,どの土地をどの相続人が取得するか合意ができない場合には,審判において,裁判官がそれぞれの法定相続分に見合う土地を現物分割により割り振りし,差額が出た場合には,代償金で調整するという方法が取られることが一般的です。

Q4 不動産から発生する賃料は誰のものになりますか?

まず,相続発生までの間に発生した賃料は,相続財産の一部になります。次に,遺産分割協議成立後の賃料は,遺産分割協議の結果,不動産を取得した者が取得することになります。最後に,相続発生後,遺産分割協議が成立するまでに発生した賃料については,各相続人が法定相続の割合で分割取得することになります。

Q5 売却可能性があるが,誰も取得を希望しない不動産がある場合,どうしたらいいですか?

誰も取得を希望しないまま,遺産分割調停が不成立になると,審判によって,共有になってしまう可能性があります。そこで,売却可能性がある場合には,相続人の一人が不動産を単独取得して,売却し,売却代金を法定相続分に従って,分配するか,もしくは,任意売却の合意を先に行って,共同で売却し,代金を法定相続分に従って,分配する方法があります。

Q6 父名義の不動産を被相続人の死後,自己名義に移転しようと思ったら,前妻との間に子供がいることが分かった場合,どうすればいいですか?

お父様の相続において,お父様の前妻との間に子供がいる場合には,その子供も相続人になるため,その子供の同意がない限り,お父様名義の不動産を自己名義に移転することはできません。そのような場合,まずは,前妻との間の子供と連絡を取り,同意が得られるよう交渉し,同意が得られない場合には,代償金を支払うことを前提に,遺産分割調停を申し立てることが考えられます。

Q7 相続人間で取得する不動産の価値に差がある場合,どうなりますか?

A7 代償金で調整を図ることになります。

下関 083-234-1436 黒崎 093-482-5536
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