廃業

1 はじめに

 被相続人が自身で経営者となって商売をしている場合、被相続人の相続では事業承継が問題となります。しかし、後継者がいない、債務超過でむしろ子どもたちには承継させたくない、ということもあるでしょう。

 このような場合、「廃業」を選択することになりますが、廃業の手続は個人事業主と会社で違うので、以下、見ていきましょう。

 

2 個人事業主の場合

 被相続人が個人事業主であった場合、特別な手続は必要なく、相続人は①個人事業主の死亡届、②個人事業の廃業届、③所得税の青色申告の取止届、④給与支払事務所等の廃止届、など書類を行政に提出し、少なくとも対行政との関係では廃業手続が終了します。

 被相続人が事業で有していた建物・什器・商品・売掛債権などは相続の対象となりますので、相続人間で遺産分割協議を行い、当該協議に基づいて各自が財産を分けて(後に不要なものは換価して)、終了ということになります。

 

3 株式会社の場合

 株式会社の場合、まず、債務超過に陥っていないか精査しなければなりません。なぜなら、債務超過でなければ裁判所が関与しない通常清算という手続で廃業することができるのですが、債務超過であれば破産や特別清算などの裁判所の関与が必要な手続を採らなければならず、債務超過かどうかで選択する手続が異なってくるからです。

 ここでは、債務超過ではない場合を前提として話を進めます。

 まず、従業員との雇用契約も終了させなければなりません。従業員と話をして合意退職という形を採るか、解雇することになります。解雇を選択する場合には解雇権濫用法理・解雇予告など労働基準法上の規制があるのでそれに違反しないように気をつけなければなりません。

 次は、廃業のための第一歩として株主総会において解散の決議をしなければならず、原則として議決権数の3分の2以上の賛成が必要になります。

 解散後は清算という手続に進みますが、その任務を負う清算人という人を選任することになります。通常は、代表取締役が清算になります。

 解散・清算人は登記しなければならないので、通常は司法書士に依頼して登記をしてもらうことになります。税務の面では、税務署には解散届を提出しなければなりません。

 清算手続は、概ね、債権申出手続(官報公告や個別の催告等)→財産換価(不動産・商品等の売却)→債権者への弁済→残余財産の分配→清算事業年度決算書の承認→清算結了登記→税務申告という流れで進めていきます。

 

 以上のとおり、個人の場合と異なり、株式会社を廃業するための手続は複雑で会社法、税務、登記に関する知識がないと対応できないので、専門家に依頼した方がよいといえるでしょう。

下関 083-234-1436 黒崎 093-482-5536
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