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相続人なのに遺産を全くもらえない

特定の相続人に「遺産をすべて相続させる」と遺言を残していた

Q 特定の相続人に「遺産をすべて相続させる」と遺言を書いていたので、遺産をもらえず困っています。

 

A 遺留分減殺請求を行うことが考えられます。

遺留分減殺請求を行うことが考えられます。

 

遺留分とは、被相続人の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人に留保されていて、被相続人による自由な処分に対して制限が加えられている持分的利益のことです。つまり、一定の法定相続人には、被相続人に対する法律上の権利として、一定の相続財産を受け取る権利が与えられているということです。

 

遺留分権利者になりうるのは、配偶者、子、直系尊属のみで、兄弟姉妹はなりえません。

 

相続財産を法定相続人に一切与えない遺言がある場合、上記法定相続人は遺留分を侵害されることになりますから、法定相続人は、他の相続人に対して、遺留分の分だけ相続財産を返還するよう請求することができます。このような請求を遺留分減殺請求と言います。

 

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相談に至る経緯・事案の概要

Aさんは、亡くなったXさんの子で、Xさんには、配偶者であるYさんとAさんの他に子Bさんがいました。
AさんとXさんとは、Xさんの生前、折り合いが悪く、Xさんは、生前に仲の良かったBさんに不動産(Xさんが経営していた会社の本店が所在する土地・建物)、Yさんに現金を遺贈する旨の遺言を書いていました。

 

Aさんは、Xさんの法定相続人なのに相続財産を全く相続できないことに納得できず、平成24年3月10日、弁護士に相談に行きました。

具体的手続

まず、Aさんにいくらの具体的遺留分があるのかを確認するため、Aさんからの聴き取りに基づき、相続財産(Xさんのプラスの財産とマイナスの財産)やXさんが生前に行った一定の贈与・売買等を調査しました。具体的遺留分の額を確定するためには、民法所定の遺留分計算の基礎となる財産額を確定しなければならないからです。

 

調査の結果、Xさんの遺言書に記載されていたとおり、Xさんの相続財産は、プラスの財産として、不動産(時価1000万円程度)、現金(400万円程度)があるのみで、マイナスの財産はないことが判明しました。なお、遺留分計算の基礎となる財産額を変動させる民法所定贈与や売買等は判明しませんでした。

 

以上の調査結果を前提として、遺留分計算の基礎となる財産額は、1400万円となり、Aさんの具体的遺留分の価額は175万円(1400万円 × 1/2 × 1/4)、Aさんが侵害される遺留分の価額も175万円となることが明らかになりました。

 

そこで、弁護士は、平成24年4月20日、Bさんに対して、Xさんの遺贈の効果を、Aさんの遺留分を侵害する限りで遺留分減殺請求により消滅させる予定があることを書面で伝えました。

 

ここで、弁護士が遺留分減殺請求権を内容証明郵便により行使しなかったのは、Bさんのような法定相続人に対して遺留分減殺請求権を行使する場合、減殺の対象となるのは、その法定相続人の遺留分を超えている分だけなので、不動産の遺贈のうち175万円分は減殺することができず、その結果、不動産が中途半端な形でAさんとBさんの共有になってしまうという理由からでした。弁護士は、Bさんが不動産を単独所有したいと言っていたとAさんから聴いていたので、Aさんの具体的遺留分侵害額である175万円をBさんから現金で回収しようと考えたのです。

 

 

 

Bさんも、弁護士からの連絡を受け、不動産が共有になることを避けたいと考え、結局、平成24年5月17日、BさんがAさんに現金175万円を支払うことで和解することになりました(Bさんが不動産の共有を避けるためには、いずれにせよ現物返還に代わる価額弁償(民法1041条)として、Aさんにお金を支払わなければなりませんでした)。


結果

以上の事例では、Aさんは相談からおよそ2ヶ月程度で自らの遺留分だけの現金を回収することができました。

 

 

当事者間で遺留分額・遺留分侵害額の計算の前提となる財産関係・贈与等に争いがある場合、その確定のために、調停さらには審判手続を利用しなければならない場合があり、その場合、さらに数ヶ月の時間がかかることが予想されます。

 

 

blueclock.PNG     当該事件にかかった時間及び弁護士費用 money.PNG



 

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H24年3月10日 相談にこられる

H23年4月20日 Bさんに対して書面の送付

H23年5月17日 和解成立

合計 2ヶ月


 

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