相続人調査と財産調査
相続人調査とは?
相続は,亡くなられた方(被相続人)から,相続人へ財産を移転させることです。
何よりもまず、相続人が誰なのかを確定することが不可欠です。一部の相続人を欠落させて行った遺産分割協議は無効となるからです。相続人を調べていくと、考えてもいなかったような人が相続人としての権利を持っていることも多くあります。
現在ご高齢の方たちが若かりし頃,世間では離婚は恥ずかしいことと捉えられていた時代もありました。
そのため,我が子にも離婚歴があることを話すことができない方もいらっしゃったことでしょう。
前の婚姻の時に子どもが産まれていたら・・・「親族はみんな顔を知っているから大丈夫。」と思っていると、思わぬトラブルにまきこまれる可能性があります。
不測のトラブルが起きないように、相続が始まった際には、誰が相続人であるかをまずしっかりと把握しましょう。
誰が相続人なのかを調べるためには、まず亡くなった方の「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」等を出生から死亡まですべて取得します。
市役所の窓口で,「(被相続人)が生まれてから死ぬまでの戸籍を全部ください。」と言えば,だいたい話が通じます。
ただし,被相続人が同一市町村以外に戸籍を移したことがある場合には,それぞれの市町村役場から取り寄せなければなりません。
これにより,両親と子供、配偶者が確認できます。
子供(代襲者を含む。)がいない場合には,両親を初めとする直系尊属が相続人になりますので、必要に応じて戸籍及び除籍を取得します。
直系尊属が全員亡くなっている場合は,兄弟の戸籍及び除籍も取り寄せて調査します。
相続人調査を進めるなかで、当初考えていたよりも相続人の数が増えるケースが多々あります。
被相続人がなくなって突如姿を現す相続人がみつかることは,そう珍しいことではありません。
相続人の確認をしっかり行うことで、遺産分割協議完了後から現れた相続人から,相続の回復を請求されて、すべてがやり直しになる可能性を排除し、スムーズに相続手続きを進めましょう。
また、相続人でなくとも、遺言により遺産の包括的遺贈を受けた人(包括受遺者と言います。)がいる場合は、相続人とほぼ同じように扱われ、遺産分割協議に参加することもあります。
相続財産調査とは
相続は、被相続人に帰属していた色々な財産や権利・義務を包括的に受け継ぐということです。
相続人は,自分が相続したい財産の一部分だけを相続することはできません。
亡くなられた人が持っていた財産や権利・義務のすべてを相続することになりますから、借金も一緒に相続しなければいけません。
原則は「すべて相続するか」「すべて放棄するか」しかありません。
ですから2か月以内の早い時期、どんなに遅くとも3か月以内(相続放棄ができる期間です。)には相続財産額がプラスなのかマイナスなのかくらいは確認できる調査をしなければいけません。
相続財産には3種類あります。
相続財産 | 遺産分割の対象になる財産 |
みなし相続財産 | 相続税の課税対象になる財産 |
祭祀財産 | 相続財産にも、みなし相続財産にもならない財産 |
確認できた財産がどれに当たるかによって、扱いが異なりますので注意しましょう。