【弁護士監修】相続人が「後妻」と「先妻の子」だけの場合…遺産分割の割合やトラブル回避のポイント
はじめに:なぜ後妻と先妻の子の相続は揉めやすいのか?
被相続人(亡くなった方)が再婚したことで、相続人が「現在の妻(後妻)」と「前の妻との間の子(先妻の子)」になる場合には、お互いに面識がない・感情的なしこりがあるなどの事情で、遺産分割協議(誰がどの財産をもらうかの話し合い)がスムーズに進まないことがあります。
このような場合に当事者で遺産分割協議を進めるのは極めて困難です。そのため、早めに専門家へ相談することが重要となります。また、トラブル回避のためには事前に正しい知識を身につけることも重要になってきます。今回は後妻と先妻の子の相続について見ていきましょう。
1. 相続人と法定相続分
まず、誰が相続人となるのかを確認しましょう。
被相続人が再婚しており、前の妻との間の子(先妻の子)がいるケースでは、相続人は現在の妻(後妻)と先妻の子です。
なお離婚した先妻に相続権はありません。被相続人の死亡時に法律上の配偶者であった「後妻」のみが配偶者としての相続権を持ちます。
次に、どのくらいの割合で遺産を受け取る権利があるのか確認しましょう。
民法には「法定相続分」が定められており(民法900条)、同条に従うと、後妻は1/2、子供が1/2(子が複数いる場合は1/2を等分)になります。
法定相続分の割合と計算例
相続人が「配偶者(後妻)」と「子(先妻の子)」の場合、法定相続分は以下の通りです。
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相続人 |
法定相続分の割合 |
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配偶者(後妻) |
1/2(50%) |
|
子ども(先妻の子) |
1/2(50%) ※子どもが複数いる場合は1/2を均等割 |
【計算例:遺産総額が6,000万円で、先妻の子が2人いる場合】
- 後妻:3,000万円(1/2)
- 先妻の子A:1,500万円(1/4)
- 先妻の子B:1,500万円(1/4)
先妻の子と後妻と被相続人の間の子は民法上同じ子であるので、先妻の子と後妻の子全員で、「1/2」を等分することになります。
2. 後妻と先妻の子の遺産分割でよくある3つのトラブル
法律上の割合が決まっていても、実際の遺産分割では様々な要因から話し合いがまとまらないことがあります。代表的な3つのケースをご紹介します。
① 面識がなく遺産分割協議が進まない
遺産の分け方を決める「遺産分割協議」は、相続人全員の合意が必要です。しかし、後妻と先妻の子に面識がない場合、そもそも連絡先を知らなかったり、連絡を取ることに心理的な抵抗を感じることがあります。ここを乗り越えて手紙を送ることができた場合でも、無視されてしまったり、感情的な言葉をぶつけられるなどして、冷静に話し合いを進めることができなくなってしまうこともあります。
② 自宅不動産をめぐる争い(住み続けたい後妻 vs 現金が欲しい子)
遺産の大部分が「現在後妻が住んでいる自宅不動産」という場合、妥協点を見つけることが難しくなります。後妻は自宅不動産に住み続けることを希望するでしょうし、そうなれば先妻の子は「自宅はあげるけれど法定相続分相当のお金(代償金)は払ってほしい」と希望するでしょう。代償金額が遺産である預貯金で調整できる範囲ならば良いですが、そうではなく、かつ後妻に代償金を支払う資力がなければ、自宅を売却して現金化せざるを得ません。
③ 生前の財産使い込みや隠ぺいが疑われる
被相続人の晩年に後妻が財産管理をしていた場合、先妻の子から「預金が不当に引き出されているのではないか」、「遺産を隠しているのではないか」と疑われることがあります。このような主張は通常の遺産分割でもなされますが、普段から交流のない相続人が相手となると不信感が募りやすい傾向があります。
3. 相続トラブルを未然に防ぐための生前対策
将来の争いを防ぐためには、被相続人が生前にしっかりと対策をしておくことが一番の解決策です。
公正証書遺言の作成
「後妻に自宅を残したい」、「先妻の子にも一定の財産を渡したい」などの自身の死後における希望を実現するためには遺言書の作成が不可欠です。紛失や偽造、無効になるリスク防止を考えると、公証人役場で作成する「公正証書遺言」を強くおすすめします。
遺留分(いりゅうぶん)への配慮
「全財産を後妻に相続させる」という遺言書を作成した場合でも、先妻の子(その他の相続人)には法律上最低限保障された権利、いわゆる「遺留分(法定相続分の半分)」があります。遺留分を侵害する形で遺言を残すと、死後に先妻の子から後妻に対して「遺留分侵害額請求」が行われる可能性があり、後妻が遺留分侵害額相当の金銭を支払う必要が出てきます。遺言書を作成する際は、遺留分に配慮した内容にすると後々の紛争防止になります。
生命保険の活用
生命保険の死亡保険金は、原則として遺産分割の対象外であり、受取人固有の財産となります。また、原則として、遺留分の算定基礎財産にも含まれません(なお、特段の事情が認められる場合には算定基礎に含まれ得ることに注意が必要です。)。後妻を受取人にしておけば、預貯金がほとんどない相続に関しては、遺留分侵害額請求をされた際の支払原資とすることも可能です。
4. すでに相続が発生して揉めている場合の対処法
もし遺言書を作成していない状態で相続が発生し、話し合いがまとまらない場合はどうすればよいのでしょうか。
代理人を立てて遺産分割協議を行う
当事者同士で話し合うと感情的になりがちです。弁護士が代理人として間に入ることで、冷静に、かつ法律に基づいた適正な遺産分割の交渉を進めることができます。また他の相続人と直接やり取りをするストレスからも解放されます。
遺産分割調停の申し立て
協議での解決が難しい場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。調停委員という中立な第三者を交えて話し合いを行う手続きですが、弁護士のサポートがあれば、自身の主張を法的に正しく整理して伝えることができます。
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