特別受益についてのQ&A
Q 特別受益とはなんですか?
A 特定の相続人が、被相続人から受けた生前贈与などの特別な利益のことを特別受益といい(民法903条)、特別受益を受けた相続人の相続分を特別受益分だけ減らすことによって(特別受益の持戻し)、他の相続人との衡平を図っています(民法903条1項)。
注意すべきなのは、実際に特別受益分の金額を相続人が返還するわけではないことです。
Q 特別受益が、相続分を上回る場合はどうなりますか?
A 特別受益が多くて、相続分を上回る場合であっても、その差額について実際に返還されるわけではありません。
マイナス分は他の相続人たち割合に応じて負うことになります。
Q どのようなものが特別受益になりますか?
A 特別受益の対象となる財産としては、
①遺贈されたもの
②婚姻や養子縁組のために贈与されたもの(婚姻の際の持参金など。なお,結納金、挙式費用は一般的に特別受益にならないと考えられています)
③生計の資本としての贈与(開業資金・住宅購入資金・高額な学費等)等があります。
④生命保険金・死亡退職金
これらはそもそも相続財産ではなく,保険契約に基づく保険金受取人(相続人)の固有財産とされています。しかしながら,受け取った保険金額が遺産の総額や相続人と被相続人の関係等に照らし、著しく不公平とみられるほどに高額の場合は、特別受益とみなされるとする判例があります(最決平成16・10・29)。
Q 特別受益の持ち戻しの計算方法を教えてください。
A 特別受益がある場合の相続分の計算方法は、遺産に特別受益を上乗せしてみなし遺産を算出し、これを法定相続分にしたがって分配した後に、特別受益がある相続人の相続分から特別受益分を控除して算出します(民法903条1項)。