遺留分についてのQ&A

Q 遺留分とはなんですか?

A 被相続人の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人に留保されていて、被相続人による自由な処分に対して制限が加えられている持分的利益のことです。

一定の法定相続人には、被相続人に対する法律上の権利として、一定の相続財産を受け取る権利が与えられているということです。
 
 
 

Q 誰が遺留分権利者になるのですか?

A 遺留分権利者になりうるのは、配偶者、子、直系尊属のみで、兄弟姉妹はなりえません。

 
 

Q 遺留分はどのくらいありますか?

A それぞれの遺留分は下図の通りです。

  配偶者・子 直系尊属
遺留分 法定相続分×1/2 法定相続分×1/3

遺留分の具体例はこちら

Q 遺留分はどのような場合に問題になりますか?

A 被相続人の財産が相続によって承継される場合,遺言があれば遺言相続,なければ法定相続のルールに従います。

被相続人は,遺言により誰にどれだけ財産を承継させるかを定めることができますが,一部の相続人の遺留分を侵害する場合は遺留分減殺請求がなされる可能性があります。

 

Q より具体的にはどのような場合ですか?

A 具体例 

4000万円の預貯金の財産があったAさんがなくなり,その配偶者だったBさんとその間の子である長男Cが法定相続人となりましたが(民法887Ⅰ,890),Aさんの生前,AさんとCさんとの間に確執があり,AさんがCさんやその子Dさんに財産を承継させたくないため,Bさんに4000万円の預貯金全部を包括して遺贈するとの遺言を作成したという単純なケースを想定してみます。


Aさんの相続に関して,総体的遺留分は1/2であり(1028②),Cさんの法定相続分は2分の1です(900①)。Cさんは遺贈によって1000万円(=4000万円×1/2×1/2)の遺留分をBさんに侵害されていることになり,遺留分減殺請求権を行使することができます。

 

Q Aさんは相続財産をCさんに分け与えたくないのですが,対処法はありますか?

 どのようにすればAさんの思い通りに財産承継ができるのでしょうか。①Cさんが相続放棄する,②Cさんを廃除する,③Cさんが遺留分放棄する,④Bさんに相続財産を集中させる遺産分割をする(事実上の相続放棄とも言われます。),⑤Aさんが生前に財産をBさんや第三者に処分する,といった方法が思いつくところです。

 

Q 結論としてうまくいくのですか?

 相続放棄,遺留分放棄及び事実上の相続放棄は,それらを行うかどうかがCさんの意思にかかっており,うまくいくとは限りません。

廃除については,調停が成立するかどうか,被相続人に対する虐待や重大な侮辱といった行為が認められるかが問題となりえます。さらに,Cさんを廃除できても,その効果はAさんとCさんとの間で相対的に発生するものですから,廃除,Cさんの死亡,Aさんの死亡という順序を経た場合,Dさんの代襲相続が問題になってきます。


生前贈与については,贈与契約がAさんの相続開始の1年以上前になされたとしても場合によってはCさんによる減殺請求の対象となりえます(1030)。結論として上記の方法でAさんの狙いを達成するには残念ながら障害があります。

下関 083-234-1436 黒崎 093-482-5536
下関 083-234-1436 黒崎 093-482-5536