【解決事例】遠隔地に住む異母兄(非嫡出子)との遺産分割協議が早期に成立した事例

事案の概要

依頼者は、約40年前に亡くなった父親名義の土地上に自分名義の自宅を建てて居住していましたが、土地の名義を変更しないままとなっていました。土地の名義を変更するには、まず父親の相続に関する遺産分割協議を完了させる必要がありました。

一方、依頼者の父親には、生前、依頼者の母親以外との女性の間に子ども(非嫡出子・相手方)がいました。依頼者本人の代で土地の名義を変えておかなければ子供・孫の代まで問題が更に大きくなってしまう、しかし土地の名義変更のためには相手方と遺産分割協議をしなければならない、互いの出自から相手方とは良好な関係とはいえない、相手方は山口県外に居住しており約40年近く面識がないという事情から、どのように遺産分割協議を進めていいのか悩み、相談にいらっしゃいました

交渉・訴訟の経緯

⑴ ラグーンでは、相手方が県外に居住していたこともあり、究極的には、土地の取得までは求めず、代償金を支払う方法で解決するだろうという見立てを有していました。一方、土地が市内中心部に存在していたため、評価の方法によっては莫大な代償金を支払わなければならない可能性がありました。

  そこで、本件土地の形状が歪であること、一方通行道路に面するなど必ずしも利便性に優れていないこと、土地には抵当権等の権利が登記されていること、実際に土地上には依頼者名義の建物が建築されていることを捉え、本件土地がほとんど市場価値を有していないものと考えました。

  実際に、不動産業者に査定を依頼した結果、弊所の見立て通り、土地の市場価値が限定的であるということが判明しました。

⑵ その後、速やかに相手方に連絡をとり、市場価値を前提とした代償金を支払う代わりに、遺産分割協議へのご協力を求める旨を連絡しました。

  相手方は、当初は依頼者との関係性(嫡出子、非嫡出子)や、いきなり代理人弁護士を立ててきたこと、代償金の額に対して強い不満感を示していました。しかし、担当弁護士は相手方の不満を十分受け止め、代償金は合理的な根拠に基づく金額であること、調停や審判という手続になれば余計にお手間をかけてしまうことを丁寧に説明したところ、相手方の納得を得られ、受任の連絡から2か月あまりで遺産分割の内容について合意を得ることとなりました。

弁護士の目

遺産分割は、当事者同士で話がまとまらなければ、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を申し立てることとなります。調停となれば、短いもので半年、長いものでは1年以上もの間、相手方との調停に臨まなければならず、依頼者の方に時間的な負担を強いることとなります。

事案の性質上、当事者双方の心理的対立が強く、協議や調停にも長期間を要することも想定されるケースでしたが、粘り強く且つ主張の根拠を示して交渉に臨んだことで、早期解決となりました。

下関 083-234-1436 黒崎 093-482-5536
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