被相続人死亡から3か月以上経過した時点での相続放棄が認められた事案

1 事案の概要

  ご相談者の祖父は遺言等を残しておらず,また祖父の残した不動産は遺産分割が未了のままでした。ご相談者様は,このことを他の法定相続人から届いた通知を読んで初めて知り,何とか相続放棄をしたいと考えて弁護士に相談してみることにしたとのことでした。

2 事件処理

  相続放棄には申述期間というものが存在し,相続人は相続放棄をする場合,「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」に家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります(民法915条第1項,同法938条)。そして,相続は死亡によって開始する(民法882条)ため,原則として,被相続人が亡くなってから3か月以内に家庭裁判所に対し,申立て手続きを行わなければなりません。

本件では,祖父の死から数十年,祖父を相続した親の死亡からも十数年が経過しており,民法上のルールに従えば相続放棄は困難な事案です。

もっとも,ご依頼者様は,被相続人から,ご依頼者様の叔母が祖父の残した不動産を全て相続したと聞かされており,その認識に沿う形で不動産が使用され続けていたこと,被相続人及びご依頼者様が不動産の固定資産税を支払っていた事実はないといった事情,その他いくつかの事情が判明したことから,例外的に相続放棄が認められる可能性があると判断し,ご依頼を受けることになりました。

その後,上記の事情を含むご依頼者様の主張を説明した書面を作成し,相続放棄申立書とともに家庭裁判所に提出したところ,無事,家庭裁判所から相続放棄の申述が認められる結果となりました。

3 弁護士の目

  本件では,被相続人の死後3か月経過後の相続放棄が問題となりました。

相続放棄の手続きは,原則として被相続人の死後3ヶ月以内に行う必要があります。しかし,大切な方を亡くし悲しみを抱えて各種手続きに追われている中で,さらに3か月以内に相続放棄の手続きを行わなければならないという事情は,心身ともに大きな負担となるでしょう。

  弁護士であれば,相続放棄の申述に必要な書類の取得から申述手続まで一括して対応することが可能ですので,相続放棄を考えられている方はお早めに弁護士にご相談いただければと思います。

下関 083-234-1436 黒崎 093-482-5536
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